ある時、素晴らしいブリッジを自由に使える機会に恵まれたので、コピーを作りました。
随分むかし作った物です。 手本にした方は外観が高級感にあふれた測定器でした。が、当時、既に真鍮製の接点が怪しくなっていました。 それを懸命に保守して・・
自作の方に使った抵抗類は、ジャンク品の巻線抵抗をほどいて長さを調整して作った物。 その抵抗の校正に、再生した高級なブリッジが活躍したのです。
基準となる 1μFのコンデンサー、これは桁数を相当気にかけて校正した記憶があります。
基準のコンデンサーに直列と並列の可変抵抗があります。これはL,Cの損失分、残留抵抗を補正する物です(配線図を参照)
1kHzの発振器は歪みの無い正弦波出力が望ましいですが、簡易な回路です。
(単にヌル点を探すのであれば音楽のような広帯域な信号でも良さそうです。それでも測定できますが、測定対象の素子が単純にR,L,Cではなく複合化していると、うまく測定できない)
ブリッジの平衡点では検出用のイャーホンから音が最小になります。 これに検出用アンプが有り 1kHzだけ検出するフィルター(BPF)があれば・・ 信号源に必要な電源も省いて外部から供給にしました。
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ブリッジ本体の結線図 |
LCRだけでなく、トランスの変成比も測定できます。 結果からいうと、とりあえず検討をつけるほどの確度でしょう。 外箱はお菓子の金属缶でペコペコで(シールドはともかく)強度不足です。
最近、保守と点検を実施
・発振部の停止が解決しないので、別の基板に交換
(註) 先に掲載した発振回路には多数コンデンサーの数値に誤りがありました。
これは訂正版です。
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低周波発振回路 (Cの値を修正) |
・ヌル点の検出用アンプも点検
ヌル点は信号が最小なのでノイズが厄介です。整流してメータを振らせるのは、ほぼ役に立ちません。耳はその点で鋭いと感じます。最近のDSOで波形を見ました。やはりヌル点では役に立ちません。しかしFFTを試したところ素晴らしい発見。信号の周波数は分かっているので、そのスペクラムを捉えると確実にヌル点を見分けられます。
上の画像の右下の隅に「549.128Hz」と表示されたのが検出した基本波です。
スペクトラムの左端です。ブリッジは平衡点から相当ずれています。
3桁めのダイアルを回して平衡点に近づけると左端のスペクトラムが明らかに小さくなりました(信号が小さくなると周波数表示も違っている)
ほぼ平衡したので基本波は消えています。このDSOは残念ながら横軸に周波数目盛りが出ません。
低周波のFFTはパソコンのオーディオ回路 (ADC, DAC)とソフトウェアでも可能なので比較してみました。ソフトウェア (DL4YHF's Spectrum Lab.) を参照
ブリッジのイヤホーン出力端子をPCのマイク入力 (L,R)の片側にのみ接続します。
次の画像には、上に波形(時間軸)を入れてあり、実際のPC画面とは異なります。
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(赤いマーカが設定されている 567Hz) |
ここでも左端の基本波が検出対象です 。このソフトでは横軸に周波数目盛りも表示されます。
3桁めのダイアルを回して平衡点に近づけると左端のスペクトラムが明らかに小さくなります。
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(左端に近い所に赤いマーカ, 567Hz) |
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マーカを表示させる機能がとても役立つ |
抵抗値を測定すると3桁の精度がありました。3桁目の1ノッチ分で信号の有無を判定する事ができます。耳か、またはFFTによって。
今回は実験なので旧来の検出用アンプを使用。どうやら動作点が不適当で波形が歪むようです。高調波が沢山見えます。 発振部自体も正弦波に近いというだけで、理想とは遠い歪みを含んでいます。
電源は外付で、再検討の結果、発振部も検出用アンプもDC 5Vで共通にして動作可能です。USBプラグ付きケーブルに代えました。 5V, 0.1Aが確保できる USB電源であれば ACアダプターと電池の両方で使えます。平衡点検出でのS/Nでは電池動作が有利です。