555型タイマーICが、初めて世に出たとき、いろいろな応用記事が出ました。 私の趣味が模型だったので回転数を計る物を自作した次第です。
画像の上端にレンジ切換スィッチがあります。 それは電源スィッチと一体です。最初の位置に x10 (最高) レンジをに配置して、いきなりメーターがフルスケールを越えない工夫です。
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| レンジ切換、メーターの目盛 |
蛍光灯 (インバータなどの高周波点灯式を除く)は60サイクル(日本の西半分)で点滅しているので、この回転速度計の較正に使えそうです。 よく考えると倍の周波数で明るくなったり暗くなったりしています。
この点滅は毎分の回転数に換算すると7,200rpmです。 画像のメーターの目盛を見ると、ほんの少ししか振れません。またはフルスケール以上です。
低周波発振器とカウンターが有れば完璧な較正が可能でしょう。
今風な較正
PCに内蔵のオーディオ・デバイスとソフトウエアで発信器が作れます。 既知の周波数を出力して、簡単な回路でLEDを点滅させると、この回転速度計を較正できます。
回路図のとおり作って、上手く行く保証はありません。
実測では、回転体に白と黒の反射テープ、あるいは白黒のパターンを描いた円盤を測定対象の軸に取り付けます。 その白黒パターンからの反射光で発生するパルスを数えます。
この計器は一回転に1個のパルスを想定して目盛を入れました。 換算が必要になりますが、低速な場合に白黒パターンに工夫すれば、倍数を付けられます。
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一見簡単に作れそうに思えた光センサー式ですが、まず、フォトダイオードの特性が良く分かっていませんでした。特に戸外と室内では背景の明るさが違います。環境の極端な違いを克服しないと回転数を検出できません。
明るい場所で飽和しない事。 暗い所でも感度を確保したい。 この矛盾の元は光センサーの直流分です。フォトダイオードの電流を検出している抵抗(3.9K)の値は大きくても小さくでも、明暗のどちらかで不具合を生じます。入手したセンサーの特性に合う抵抗を選ぶことが出発点になります。
次は直流分をカットして変化分だけ取り出すとき、どの程度の周波数を扱うか検討してみます。
最小値は 1目盛の1,000rpmにレンジ x 0.1を掛け算して100rpmになる。
周波数表現では1/60になり、1.67Hzと小さな値。
最大値は 6,000rpm x10で 6万rpmで 1kHz。オーディオ帯域の中ほどと小さい。
光センサーに接続するコンデンサー(100μF)は大きめです。 センサーの抵抗(3.9K)が小さい事に由来します。
初段のトランジスター(2SC587A)は hFE (電流増幅率)の大きい型で大幅な増幅を行います。
先述にように周波数の高い方の信号は不用。 それはノイズと寄生振動の原因になります。 コレクターとベース間にコンデンサー(100pF)を入れて NF (負帰還) をかけます。
タイマーIC 555に信号を渡す時点では変化分だけを抽出するために結合コンデンサー(10nF)は小さくします。
センサーとアンプがどんな信号を捕らえているのか知るためにモニター出力を設けました。 オシロスコープ、あるいはイヤフォンを接続します。 周波数カウンターを接続すれば精密測定も可能です。
可視光用センサーですが、赤外線にも反応しました。 各種リモコンの信号を検出できます。モニター出力には意外な用途がありそうです。
当初の甘い考えを打ち砕かれて少しづつ改良した結果、とりあえず使える物になりました。 しかし内部は、いわゆるスパゲッテイ状態 (恥ずかしい)。
左端上側がモニター出力。 右端の下側が光センサー。 右側部分は部品密度が低く、そこに電池 006P/9V が入ります。 消費電流はたったの8mA。
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| 内部の配置 |
左側部分に基板があり、その下がメーター。 メーター端子のネジ2個に基板を取り付け。 ネジの締付ナットは円柱形で雌ネジを切ってあります。裏蓋を止めるネジの受側です。
IC 555の周辺
低速回転の場合メーターは振動します。 それ用に LPF (10K, 220μF, 580Ω, 220μF)を効かせ過ぎるとメーターの応答が鈍くなります。
較正用可変抵抗が2個しかありませんが、レンジ切換は3箇所。 これはメーター回路の抵抗 (580Ω)を選択して較正しました。 固定なので精密な較正や後日の修正はできません。 それは部品数を減らせます。 可変抵抗は経年変化の点で不利です。
電源電圧は測定値に直に影響するので、簡単な定電圧回路を付けました。


