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Tiny SAから900MHzでオシロを

 事のついでにHP54510A, 1GSa/s 250MHzのオシロスコープの挙動を見ます。
nanoVNA は300MHzまでなので、ここではTiny SAの High Band outを利用します。
結果は以下のように波形も見えますが、周波数も妥当な読み取りと云えるでしょう。

本格的な周波数カウンターと違って判断の難しい表示です。900MHzと知っていて見れば妥当? 仕様は250MHz帯域のオシロなので、これは上出来・・・

 次はTiny SA, High Band outの周波数設定画面です (最大は960MHz)

 このオシロは入力部にON/OFF可能な50Ωを内蔵。T型のコネクターで外付けするよりリターンロスが少し良いです。

 次の画像はカーソルリードアウトで周波数を推定。ちょっと設定が特殊で2波形分を計測して450MHzと表示、900MHz測定として十分でしょう。


 本格的な周波数カウンターでも、波形を見ないで沢山並んだ数値だけで満足できますか? 波形を正確にとらえられるのは250MHzまでの仕様ですが、こういう芸当も可能だと知っていれば、このオシロの用途は広がると思います。

 HP54510AはDSOとしてリアルタイムの1Gsa/sを実現しだけでなく、複数のデータ収集モードを備え、ディジタル式の問題点を克服する工夫が見られます。


nanoVNAでオシロスコープの挙動を見る

 オシロスコープの限界に近い周波数での応答を調べています。
nanoVNAからは STIMULUS-->CW FREQでキャリアーを出力。
数値キィーパッドから周波数を指定します。


 スミスチャートのプロットは出ないようにDISPLAYを設定。
周波数を表示できるオシロスコープの限界点のようです。



nanoVNAのキャリアー出力は300MHzまで。ネット・アナとしては1.5GHzまで。高調波を利用するのでキャリアーは出ません。

このオシロスコープ (DSO) の仕様は1GSa/S, 帯域幅は50MHzです。265MHzで周波数が読み取れるというだけ。この高域まで正確な波形を観測できる訳ではありません。これには個体差もありそうです。

PIN ダイオードでAM変調波

  高周波切換器でもメカ的な接点でなくPIN ダイオードの特性を利用した物は高信頼性が得られます。本来の使い方でなく特殊な半導体の別の面を観察してみましょう。

 実用ではなく実験的な例です。nanoVNAのCW FREQ.  5MHzを利用します。変調用の低周波はDC-BIASを簡単に重畳するため、OFF-SET電圧を付与できるFunction Generatorを組み合わせました。オシロスコープの入力は50Ωで終端しています。

オシロスコープの画像はサイン波 (1kHz)ですが、ひどい過変調です。DC-BIASの設定が不適切でPIN ダイオードの特性をうまく補整できていません。

これは搬送波としてCW-FREQ : 5MHzを設定したnanoVNAの画面です。


次は三角波なので過変調でクリップされた部分と同時にPIN ダイオードの非直線性が鮮明に見えます。

実用的な AM変調回路には不適格のようですね、残念ながら。それでも複雑さを受け入れるならNegative Feedbackで補整は可能でしょう。

方形波では過変調も非直線性も判別が困難です。

むしろ、高周波の切換器として特性が鮮明です。


nanoVNAでハンディ機のアンテナを見る

 nanoVNAの素晴らしい所は1ツの端子の内側に精密なブリッジを内蔵して発振器の出力と受けた信号を分離。さらに、それら2ツの信号の位相差を分析できます。

 アマ無線用の小型でシンプルなアンテナの特性をスミスチャート上で見ます。
1200MHz用のアンテナ、位相をシフトして垂直ダブレットにマッチングしています。

1200MHz anttena and nanoVNA

目的の周波数にマッチングしてますが、50Ωからずれています。
 DISPLAY-->TRACE-->TRACE3はOFF (非表示)にしています。

スミスチャート、1200MHz Ant.


5倍高調波を利用、フル・スパン 1500MHzまで。ここでは威力を発揮します。


 430MHzの方はズレがひどく380MHzくらいに共振点があるようで、目的の周波数ではインピーダンスもとんでもない値。ハイパワーだと送信用の終段素子が反射で壊れるかも。


 このアンテナは1/4波長のアンテナをコイル状に巻いた短縮型式です。
実はちょっとした改造の経緯がありました。


最初は硬質ゴムで被覆。使った人たちの感想ではゴムを除去した方が飛びが良いとのこと。つまりゴムの材質 (黒色用カーボンを含有?)に支障があった。効率はともかく、この時点ではマッチングは取れたかも知れない (メーカーの製品)

 ゴム被覆を取り除くと確かに輻射は良くなります。バネ状金属のむき出しは良くないので熱収縮スリーブを被せて現状です。コイル状のエレメントを引き延ばして、または、少し切り縮めるとマッチングするでしょう。コイルを引き延ばす方が実効長に有利です、やや大きくなるけれど。

 同じ特性をUSB接続でコンピューター画面で見ると以下のように鮮明です。


 次はWide Band Receiver (0.1--1300MHz)に付属のアンテナ
アンテナの根元にローディング・コイルがありそうです。


マーカーはありませんが、150MHzに共振点があります。高い方にもワイドに凹みが現れています。スミス・チャートは奇妙に歪んでいます。マッチング回路の影響かも。


ざっと見た感じでは144MHz,  430MHz兼用のアマ無線用ですね。これで120---135MHz帯の航空無線を受信するのは苦しいです。小型化を別にして専用の垂直1/4波長アンテナか、欲張って1/2波長の垂直ダブレットにすれば、感度は数段良くなるでしょう。
 Wide Band Receiverには目的 (周波数帯域)別にアンテナを工夫する、そんなときの評価に役立つnanoVNAです。

 なお、この広帯域受信機には大きい磁気ループ・アンテナを組み合わせてみました。8の字形指向性の強い物で、やや扱いが面倒です。しかし、工夫すれば混信を回避したり、高感度で受けられたりできます。角度次第で水平/垂直の両方の偏波面にも対応できます。